フィットギャップ分析

パッケージソフトウェアを導入する際に、導入企業のシステム要求とパッケージソフトウェアの機能が、どれだけ適合(fit)し、どれだけズレ(gap)があるかを調査・分析・評価しなければならない。
まず、そのパッケージソフトウェアを導入するかどうかの検討をし、パッケージの機能不適合・不足を事前に知ることで、やりたい業務の何%カバーできるか、何か次善策はないか、業務プロセスの変更が可能か、カスタマイズがどの程度になるか見積もるために行われる。
したがって受注前の見積段階で調査分析し、その結果、カスタマイズ提案書・基本設計書として提出している。

今回は「ふくろう販売」導入すると決まった受注後の、打ち合わせ段階でのフィット・アンド・ギャップ分析の話である。

通常は納品時に掛売上、後日入金で売掛金消し込みだが、前受金として先に入金する場合があり、システム化したいという要望が急に上がった。
前受金管理のカスタマイズは他社でもカスタマイズしているので、自信はあるが、結構大がかりな開発工数になる。
といっても受注金額のアップは見込めない。
本当に重要でカスタマイズ必要か、簡易的なカスタマイズで可能か、または運用でカバーできるか、いくつかの質問をいろんな角度からして探ってみた。

以下、応答ダイジェスト
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Q1 前受入金あるという事は前請求しているのか。
A1 約定(契約書)あるものは請求なしだが無いものは前請求ある。
Q2 前請求は手書き or EXCEL等システム外で可能か。
A2 システム化したい。
→ それなら売上データ入力して請求書発行し、前受振替等のカスタマイズ要。
Q3 前請求→前受入金→売上入力→請求書の流れとなるが、請求書に前受入金も出力されなければいけない。
前受入金で 預金 80 / 前受金 80 と処理しても現状では売上入力で 売掛金 100 / 売上 100 となり、
売掛金で請求管理しているため、請求書は売上=100、入金=0、請求=100となる。
A3 前受入金の得意先は請求書発行しない。
→ 複数の売上あって前受入金分と通常売上分混在しないなら得意先マスターに請求書不要と設定したらよいが可能か [混在あるので不可]
Q4 どういう場合の業務で前受金処理しているのか。 (現場女性を呼ぶ)
A4 廻り手形の入金が前受金処理の殆どで、たまに小口現金取引業者が余分に入金もあるが翌月には前受金残=0となっている。
→ それなら売掛金の入金として販売管理では△売掛金残で請求書にも△請求残、
翌月には売上金額が加算され同額の場合=0となる運用でよいのではないか。
△売掛金は会計システムで決算時に 売掛金 / 前受金 の仕訳し、翌月、前受金 / 売掛金 で戻せばよい。
例:100万の請求残に対して150万の裏書手形入金、翌月(4月)80万の売上
4月請求書
前回請求   入金   差引   売上   今回請求
100万    150万  △50万   80万    30万
3/末 決算振替伝票
売掛金 50万 / 前受金 50万
4/1 期首
前受金 50万 / 売掛金 50万
Q5 そもそも前受金管理しなくてはいけないデータの割合は何%か。
A5 1%あるかどうか
→ コストかけてまでシステム化のメリットないのではないか [前受金やめて売掛金にする]
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見積オーバのカスタマイズなしで運用でカバーできることになり、思わずほっと胸をなでおろした。
会計知識だけでカスタマイズ要望を聴くと、ギャップ埋める工数軽視で、△売掛金でなく前受金管理しなくてはおかしいとなるし、
IT知識だけでカスタマイズ要望を聴くと、フィットすべきと思いこみ、パズルを解くようにデータベースをこのように持ってこう入力してと考え込んでしまう。
結果、顧客にとっても使いづらい、メンテナンス増大、属人的になり、苦労して作った割に評価が低いシステムとなる。
フィット&ギャップ分析する時は、両方の知識と応用が必要であるが、それとバランス感覚・説明力も大事である。

 

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