仕入と外注費のシステム上の区別

非鉄金属の製品並びに地金を販売する顧客に鋼材業向け販売管理パッケージ「ふくろう鋼材」を導入した。
通常の販売管理ソフトと異なるのは数量(員数)だけでなく、重量や延べ長さで在庫管理や単価計算をしなければいけない。
他にもいろいろあるが、今回は外注加工費の扱いについて取り上げてみる。
アルミの塗装加工のように、仕入と同じ商品コードで加工賃のみ計上するケースである。

材料や部品を外注加工に出庫する時、有償支給の場合は納入時に仕入でよいが、無償支給の場合は加工賃を外注加工費として計上する。
販売管理システムの仕入入力には材料・商品の仕入と外注加工仕入が混在する。
仕入計上時は、通常販売する商品の原価となるので未払金でなく、どちらも貸方は買掛金として処理して差し支えない。
したがって、どちらも買掛金残高一覧表に出力される。

仕入と外注加工費が混在した買掛金管理の画面遷移を「ふくろう鋼材」でみると、このようになる。

材料・商品の仕入の場合は仕入、外注加工仕入の場合は外注費または外注加工費(売上原価or製造原価)である。
販売管理システムから会計へ自動仕訳する場合は、仕入伝票で仕入/外注区分できたら、仕入か外注費に分ける事ができる。

有償支給の場合は、A商品で仕入、外注先へA商品で売上、納入時にB商品で仕入、後日B商品で売上というように、別の商品コードで入力したら売上原価・在庫計算に特に問題ない。

有償支給の画面遷移を「ふくろう鋼材」でみると、このようになる。

しかし、無償支給の場合、A商品で仕入、外注先へA商品で出庫、納入時に外注先からA商品で加工賃の仕入、後日A商品で売上というように同一の商品コードで入力する場合が問題である。
例えばA商品を@100×2=200で仕入、外注加工費が@20×2=40発生した場合、A商品の在庫数量は2で、在庫金額は200+40=240となる。
これを1つ売った場合の売上原価は、移動平均法では240×1/2=120である。
最終仕入原価法では、100×1=100となるので、同一商品で加工賃が加わる場合には適さない。
標準原価法では、予め加工賃を加味した標準原価120を商品マスターに登録していたら妥当な売上原価・在庫計算ができる。
移動平均法や標準原価法で原価計算すると、商品別売上分析表は加工賃も加味した粗利益が把握できるようになる。

システム的には、仕入伝票ではA商品の在庫数量増とするが、加工伝票の数量は在庫数量に反映させないようにしなければいけない。
但し、在庫金額には加工伝票の金額も加算させなくてはいけない。
また、商品の最終仕入単価は加工伝票を除外して更新する必要もある。
さらに、無償支給時及び加工仕上がり時の預け品在庫管理が必要だが、例えば倉庫間移動等で処理する手間暇と重要性からシステム外のEXCEL等で別管理という方法もありだろう。

無償支給の画面遷移を「ふくろう鋼材」でみると、このようになる。

商品在庫一覧表から月末棚卸伝票を切る時、加工賃も含めた商品在庫になっていないと売上原価は過大になり、利益が少なくなる。
先の例では、商品 120 / 期末棚卸高 120 となればよいが、商品 100 / 期末棚卸高 100 となると、20の過少利益となる。
有償支給の売上や加工後商品の仕入、無償支給の外注加工費等も販売管理システムから自動仕訳されるのが望ましい。

仕訳作成のサンプル画面を「勘定奉行i」でみると、このようになる。

鋼材業向け販売管理システム「ふくろう鋼材」は、このように仕入伝票毎に仕入or外注加工費科目を区別して転記される。

 

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