入金時、支払時の為替差損益

外貨建取引の換算方法として期末時換算法(期末に為替差損益の計上が強制される方法)と、
発生時換算法(期末の換算換えはしないで、換算差損益は決済時に発生する)がある。
外貨建取引の換算方法の選定は、通常、確定申告書の提出期限までに届出が必要となるが、法人がその選定をしなかった場合は、
外貨債権債務は、所有目的が短期の外貨建取引は期末時換算法、長期の外貨建取引は発生時換算法に依り換算する(法定換算方法)。
今回の為替差損益処理の説明は、発生時換算法、すなわち入金・支払時に為替差損益を計上する方法である。

外貨建て債券債務は取引時の為替レートで換算されているので、決済時の為替レートで換算し直さなければいけない。
その際に損失が生じたら為替差損(営業外費用)で処理し、利益が生じたら為替差益(営業外収益)で処理する。

(1)例えば、7月の1$=80円の時に売上、8月の1$=75円の時に入金の場合、為替手数料は省略するとして、

7月売上 売掛金  100万円(12,500$) / 売 上 100万円(12,500$)

8月入金 当座預金 937,500(12,500$) / 売掛金 100万円
為替差損 62,500

すなわち、売掛金は消し込まれたが、実際には、(80円-75円)×12,500$=62,500円 少ない入金となったので損失である。

逆に8月の1$=85円の場合は、

7月売上 売掛金  100万円(12,500$) / 売 上 100万円(12,500$)

8月入金 当座預金 1,062,500(12,500$) / 売掛金 100万円
___________________________________________________________ 為替差益 62,500

すなわち、売掛金は消し込まれ、実際には、(85円-80円)×12,500$=62,500円 多い入金となったので利益である。

(2)外貨建て債務の場合も同様である。

例えば、7月の1$=80円の時に仕入、8月の1$=75円の時に支払の場合、為替手数料は省略するとして、

7月仕入 仕 入  100万円(12,500$) / 買掛金 100万円(12,500$)

8月支払 買掛金 100万円 / 当座預金 937,500(12,500$)
_________________________________________ 為替差益 62,500

すなわち、買掛金は消し込まれ、実際には、(80円-75円)×12,500$=62,500円 少ない支払となったので利益である。

逆に8月の1$=85円の場合は、

7月仕入 仕 入  100万円(12,500$) / 買掛金 100万円(12,500$)

8月支払 買掛金 100万円 / 当座預金 1,062,500(12,500$)
為替差損 62,500

すなわち、買掛金は消し込まれたが、実際には、(85円-80円)×12,500$=62,500円 多い支払となったので損失である。

実際には、入金時に為替手数料は当方負担でそれを差し引いて為替差損益の計算をする。
例えば6$の為替手数料が発生したら、入金時のレートで換算するので1$=75円の場合は75円×6$=450円となる。

外貨建てに対応した
販売管理システム「ふくろう販売」の実際の画面で下記の例を見てみる。

(3)$建て売上で入金時に為替手数料 6$発生、7月の1$=80円、8月の1$=75円と円高の場合、

7/26売上 売掛金  1,000,000(12,500$) / 売 上 1,000,000(12,500$)

8/ 6入金 当座預金   937,500(12,500$) / 売掛金 1,000,000
振 込 料__________ 450 (_____ 6$)
為替差損______ 62,050

上記例のサンプル画面を「ふくろう販売」でみてみるとこのようになる。

(4)EUR建て売上で入金時に為替手数料 5EUR発生、7月の1EUR=90円、8月の1EUR=98円と円安の場合、

7/26売上 売掛金  1,000,000(11,111.12EUR) / 売 上 1,000,000(11,111.12EUR)

8/ 6入金 当座預金 1,088,890(11,111.12EUR) / 売掛金 1,000,000
振 込 料 ________ 490 (______ 5EUR)   為替差益  89,380

上記例のサンプル画面を「ふくろう販売」でみてみるとこのようになる。

なお各通貨の月別レートは事前に登録しておけば伝票日付によって初期表示され、訂正可能です。

 

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