入数・数量による売上金額計算と印刷業向け帳票のカスタマイズ

印刷関連企業から、現在ExcelやAccessをベースとしたシステムで行っている販売管理を見直したいという相談があった。

初回のヒアリングでは、売上金額の計算方法が単純な「数量×単価」ではなく、数量や重量などによって変わるという話があった。

また、既存の独自システムも使用していたが、できるだけコストを抑え、まずは売上と仕入の入力を販売管理システムで行えるようにしたいという要望であった。

そこで今回は、すべてを一から開発するのではなく、アステム株式会社の「ふくろう食品」の標準機能をベースにして、印刷業で必要となる数量の考え方や売上金額計算、帳票をカスタマイズする構成とした。

「ふくろう食品」は食品卸業向けの販売管理システムであるが、入数・ケース数による販売や、数量・重量による単価・在庫管理などに対応している。このように、顧客の業種名だけでパッケージを選ぶのではなく、実際の業務や数量の持ち方に近い標準機能を持つパッケージをベースにする方法もある。

入数・数量によって売上金額を計算

今回のカスタマイズで特徴的なのは、商品の数量を一つの項目だけで管理するのではなく、複数の数値を組み合わせて売上金額を計算する点である。

入力画面では、標準項目の名称を実際の業務で使用する表現に合わせて変更した。

具体的には、

「入数」を「数値」
「ケース」を「数量」
「数量」を「総数」

として扱う。

入力する数値の桁数についても業務に合わせ、

「数値」は小数点以下2桁、
「数量」は小数点以下3桁

まで入力できるようにした。

特定の商品については、

数値 × 数量 × 単価

で売上金額を計算する。

また、「数値」が0の場合には、計算上は1として扱うという独自の計算ルールにも対応した。

販売管理システムでは、一般的な「数量×単価」だけでは対応できない業務がある。

例えば、ケース数、入数、重量、長さ、面積など、複数の数値を組み合わせて金額を計算する業種である。

このような場合には、業務上の「数量とは何か」を整理してから計算方法をシステム化することが重要になる。

注文書・納品書・請求書も業務に合わせて変更

入力画面だけでなく、帳票についてもカスタマイズを行った。

注文書、納品書、請求書には、「数値」と「数量」を印字する一方、計算によって求められる「総数」については印字しない仕様とした。

また、今回の業務では重量項目を使用しないため、帳票から重量欄を外した。

注文書については明細行がそれほど多くないことから、一般的なA4サイズではなくA5サイズとした。

納品書については3連形式とし、

  • 売上伝票
  • 納品書
  • 受領書

として使用できるようにした。

販売管理システムを入れ替えるとき、すべての帳票をパッケージ標準様式に変更すると、自社の現場だけでなく取引先側の運用まで変えなければならない場合がある。

そのため、標準帳票をそのまま利用できる部分と、現在の業務に合わせて変更した方がよい部分を分けて考えることが重要である。

カスタマイズ内容・工数・参考価格

今回のカスタマイズを整理すると、次のようになる。

カスタマイズ区分内容参考工数参考価格
画面・計算項目名称、入力桁数の変更、独自の数量計算・売上金額計算への対応9人日約67.5万円
帳票注文書・納品書・請求書の項目変更、A5注文書、3連納品書への対応3人日約22.5万円
合計12人日約90万円

カスタマイズ工数:合計12人日

カスタマイズ参考価格:約90万円(税別)

標準機能で対応する部分とカスタマイズする部分を分ける

今回の案件では、売上入力や仕入入力など、販売管理の基本的な処理まで独自開発するわけではない。

販売管理として一般的に必要になる部分については、ふくろう販売の標準機能を利用する。

一方で、

  • 独自の数量の持ち方
  • 売上金額の計算方法
  • 現場で使用する注文書・納品書・請求書

については、実際の業務に合わせて変更する。

販売管理システムを導入するときに、「現在使用しているシステムを全部そのまま再現する」という考え方をすると、カスタマイズ範囲が広がり、開発工数も費用も大きくなりやすい。

標準機能で問題のない部分は標準機能を使い、その会社独自の業務だけをカスタマイズする方が、費用だけでなく将来の保守やシステム変更という面でも分かりやすい。

今回の事例は、その考え方が比較的分かりやすい例だと思う。

IT税理士・システム設計者として考えるポイント

今回のような案件で重要なのは、最初に「数量」という言葉の意味を整理することである。

一口に数量といっても、業種や会社によって、

  • 入数
  • ケース数
  • 数量
  • 重量
  • 総数

など、複数の数量が存在する。

さらに、

「どの数値を入力するのか」

「どの数値を売上金額の計算に使用するのか」

「どの数値を納品書や請求書に表示するのか」

は必ずしも同じではない。

ここを整理しないままシステム化すると、計算結果は合っていても入力しにくかったり、請求金額は正しいが帳票が実際の業務と合わない、といった問題が発生する。

今回の事例では、入力項目、計算方法、帳票表示を分けて整理し、それぞれ必要なところだけを変更している。

また、当初のヒアリングでは原価管理についても今後検討する可能性があったが、今回のカスタマイズ見積では対象としていない。

将来必要になるかもしれない機能まで、最初からすべてカスタマイズする必要はない。

まず必要な売上・仕入業務をシステム化し、実際に運用したうえで、必要性が明確になった機能を追加していく考え方もある。

業種名だけでなく「業務」でパッケージを選ぶ

今回のユーザは印刷関連企業であるが、ベースとしたのは食品卸業向けの「ふくろう食品」である。

販売管理パッケージを選ぶ場合、「印刷業だから印刷業専用システム」と考える方法もあるが、実際には会社ごとに業務内容は異なる。

今回のように、入数、数量、重量など複数の数値を扱う標準機能が業務に近いのであれば、それをベースにして、印刷業独自の部分だけをカスタマイズするという方法もある。

ふくろう販売シリーズでは、業種別の標準パッケージをベースに、企業独自の入力方法、計算方法、帳票などを必要な範囲に絞ってカスタマイズすることができる。

すべてを一から開発するのではなく、

標準機能で対応できるところは標準機能を利用し、その企業独自の部分だけをカスタマイズする。

これが販売管理パッケージを利用するメリットの一つである。

今回ベースとした製品の詳細は、アステム株式会社の公式サイトで確認できる。

「ふくろう食品」の製品・機能についてはこちら


※掲載している工数・価格は、この導入事例をもとにした参考値です。実際のカスタマイズ費用は、仕様、対象画面、帳票、処理内容、連携内容等によって異なります。正式な金額はヒアリング後のお見積りとなります。

※記載金額は税別です。

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