紙加工・製造業のユーザから、現在使用している販売管理システムの更新を機に、グループ会社ですでに使用している販売管理システムを利用できないかという相談がありました。
既存システムでは、受注から売上、納品、請求、入金までを管理していましたが、単純に新しいパッケージへ置き換えるだけでは対応できない独自の業務があります。
特に今回のポイントとなったのが、
・長さや入数、ケースなどを考慮した受注入力
・複数の受注をまとめて1件の売上伝票にする処理
・仮納品書と本納品書の使い分け
・受注データ取込時の単価計算
・商品コードと商品検索方法
などです。
そこで今回は、新しくシステムを一から構築するのではなく、グループ会社ですでに稼働している 「ふくろう鋼材」 のカスタマイズ版をベースとして、必要な機能を追加する方法を採用しました。
既存のカスタマイズ版をグループ会社で活用
販売管理システムをグループ会社へ展開する場合、各社の業務をすべて同じにできればシステムの共通化は比較的容易です。
しかし実際には、同じグループであっても受注方法、商品コード、単価の決め方、納品書の発行方法などが異なることがあります。
今回も、既存会社で使用しているシステムをそのまま利用するのではなく、導入する会社の業務に合わせた追加カスタマイズが必要となりました。
一方で、すでに開発済みの機能を利用できる部分については、それをベースとすることで、すべてを新規に作り直す必要はありません。
長さ・入数・ケースなどを考慮した受注入力
受注入力では、メートル単価への対応や入数・ケースなど、取扱商品に合わせた入力方法に対応します。
販売管理システムでは、単に「数量×単価」で金額を計算するだけでは対応できない業種があります。
商品の販売単位や単価の持ち方が業務に合っているかどうかは、パッケージを選定する際の重要な確認事項です。
複数の受注を1件の売上にまとめる
今回の業務では、同じ得意先・納入先・商品・納期であっても、注文が数日に分かれて入る場合があります。
受注伝票単位でそのまま売上処理すると納品書も分かれてしまうため、複数の受注を選択して1件の売上伝票として作成できるようにします。
検索条件から対象となる受注を抽出し、複数の受注No.をまとめて売上伝票を作成します。
また、出荷予定日を売上日・出庫日、納期を納入日として扱うなど、実際の出荷業務に合わせた処理も行います。
仮納品書と本納品書を使い分ける
帳票についても従来業務に合わせたカスタマイズを行います。
仮伝票と本伝票を区分し、
・仮納品書
・仮納品書控え
・受領書
・納品書
・納品書控え
などを必要に応じて発行できるようにします。
仮納品書では単価・金額を表示せず、本納品書では単価・金額を表示するなど、帳票の役割に応じてレイアウトを分けます。
また、対象商品について認証番号を帳票へ出力する対応も含まれています。
受注データを取り込む際に単価を取得
外部で作成された受注データを取り込む場合、CSVデータ側にすべての情報を持たせるのではなく、商品マスタなどに登録された情報を利用した方がよいケースがあります。
今回のカスタマイズでは、受注データのインポート時に単価をマスタから取得し、必要な条件を考慮して単価を決定できるようにします。
外部データ連携では、「CSVに何を持たせるか」「販売管理システム側で何を判断するか」を整理することが重要です。
商品コードと商品検索を業務に合わせる
従来システムでは、寸法などを商品コードとして使用しており、得意先ごとに商品を管理する必要がありました。
そのため商品コードの桁数を拡張するとともに、商品参照画面についても、導入会社では得意先を条件として商品を絞り込めるようにします。
さらに、商品コードを途中まで入力して商品参照画面を開いた場合には、その入力内容を検索条件へ引き継ぐなど、日常の入力作業を考慮した変更を行います。
必要性の低いカスタマイズは行わない
今回の検討では、当初、専用の受注インポート画面や乾燥代の自動計算などもカスタマイズ候補に挙がっていました。
しかし、受注データについては外部側でデータを変換して既存のインポート機能を利用する方法を検討し、専用機能の追加は行わないことになりました。
乾燥代についても、グループ内で運用方法を統一することでカスタマイズ対象から外しました。
カスタマイズでは「できるかどうか」だけでなく、その機能を本当にシステムへ追加する必要があるかを検討することも重要です。
外部側で対応できるもの、業務ルールを統一すれば不要になるものまでシステム化すると、初期費用だけでなく、その後の保守対象も増えてしまいます。
カスタマイズ規模
| カスタマイズ区分 | 内容 | 参考工数 | 参考価格 |
|---|---|---|---|
| 受注・商品管理 | メートル単価、入数、ケース等に対応した受注・商品管理 | 18人日 | 約144万円 |
| 売上 | 複数受注を1件の売上伝票へまとめる売上一括作成 | 12人日 | 約96万円 |
| 帳票 | 仮納品書・本納品書・受領書等への対応 | 6人日 | 約48万円 |
| CSV | 受注データ取込時の単価取得等 | 4.5人日 | 約36万円 |
| 画面・マスター | 単価判定、出荷予定日、商品コード拡張・商品検索等 | 9人日 | 約72万円 |
| 合計 | 49.5人日 | 約396万円 |
カスタマイズ工数:合計49.5人日
カスタマイズ参考価格:約396万円(税別)
なお、受注明細表に「単価0円が含まれる伝票」を抽出する機能も追加していますが、今回の見積ではサービス対応となっているため、上記工数には含めていません。
IT税理士・システム設計者としての視点
今回の事例で興味深いのは、単に「新しい会社へ販売管理システムを導入した」という点ではありません。
すでにグループ会社で使用しているカスタマイズ済みの販売管理システムを共通基盤として利用し、その会社に必要な部分だけを追加しています。
グループ会社だからといって、すべての業務を無理に同じにする必要はありません。一方、各社の現在の業務をすべてそのままシステム化すると、会社ごとに別システムを作ることに近づいてしまいます。
そのため、
「グループで共通化できる業務」
「各社固有のためカスタマイズする業務」
「業務を変更することでカスタマイズしない部分」
を分けて考えることが重要です。
今回、検討途中にあった機能の一部をあえてカスタマイズ対象から外したのも、この考え方によるものです。
ふくろう販売シリーズでは、すべてを一から開発するのではなく、標準パッケージや既存のカスタマイズを活用しながら、企業独自の部分を追加する方法を取ることができます。
今回使用した 「ふくろう鋼材」の製品・機能はこちら で確認できます。
※掲載している工数・価格は、この導入事例をもとにした参考値です。実際のカスタマイズ費用は、仕様、対象画面、帳票、処理内容、連携内容等によって異なります。正式な金額はヒアリング後のお見積りとなります。記載金額は税別です。