鋼材卸売業|委託加工・滞留在庫管理

事例の概要

鋼材卸売業では、鋼材の仕入・販売・在庫管理に加えて、外部加工業者への委託加工、倉庫別在庫管理、重量・員数による在庫評価、長期滞留在庫の把握など、業種特有の業務に対応する必要があります。

本事例は、2010年に販売管理システムを導入した鋼材卸売業の企業が、その後約10年間にわたって業務改善のためのカスタマイズを段階的に追加した事例です。

2016年には、システム更新に合わせて委託加工管理、滞留在庫管理、債権・債務管理などの大規模な機能追加を行いました。

その後も、倉庫別在庫管理や直送取引チェックリストなど、現場の業務に合わせた改善を続けています。

確認できたカスタマイズの規模

カスタマイズ総工数

131人日

参考価格(税抜)

1,048万円

区分工数参考価格(税抜)
2010年 導入時5人日400,000円
2011年以降の追加カスタマイズ126人日10,080,000円
合計131人日10,480,000円

※参考価格は、カスタマイズ工数に1人日80,000円(税抜)を乗じた概算額です。実際の販売価格・契約金額とは異なります。パッケージ利用料、導入支援費等は含んでいません。

導入前の課題

1.鋼材の加工業務と販売管理の連携

鋼材卸売業では、仕入れた鋼材をそのまま販売するだけでなく、外部加工業者へ加工を依頼して販売する取引があります。

そのため、通常の仕入と外注加工費を区別することや、加工指示書を発行することが必要でした。

2.重量・員数による在庫管理

鋼材には、重量で管理する商品と員数で管理する商品があります。

商品ごとの管理単位に応じて在庫数量や在庫評価単価を計算し、正確な在庫管理資料を作成することが求められました。

3.複数倉庫・事業所の在庫管理

複数の倉庫や事業所で鋼材を保管しているため、商品別の在庫数量だけでなく、倉庫別の在庫状況を把握する必要がありました。

4.滞留在庫・債権債務の管理

長期間動きのない在庫や、回収が遅れている売掛金などを把握するための管理帳票も必要でした。

また、得意先・仕入先のコード体系や会計システムとの連携についても改善が求められていました。

導入時のカスタマイズ内容

2010年、鋼材業向け販売管理システムふくろう鋼材を導入しました。

当初は、販売管理・仕入管理・在庫管理などの基本機能を活用しながら、鋼材卸売業の業務に合わせて加工指示書と外注加工費の仕訳処理をカスタマイズしました。

導入時の工数・参考価格

カスタマイズ内容工数参考価格(税抜)
加工指示書の発行4人日320,000円
仕入先区分による仕入・外注加工費の仕訳区分1人日80,000円
合計5人日400,000円

※参考価格は、カスタマイズ工数に1人日80,000円(税抜)を乗じた概算額です。実際の販売価格・契約金額とは異なります。パッケージ利用料、導入支援費等は含んでいません。

加工指示書の発行

受注した鋼材の加工を外部業者へ依頼するため、加工指示書を発行する機能を追加しました。

受注情報に基づいた加工依頼を行うことで、販売業務と加工業務を連携させる仕組みです。

外注加工費の仕訳区分

仕入先区分を利用して、通常の商品仕入と外注加工費を区別した会計仕訳を作成する機能を追加しました。

鋼材の仕入と加工に関する会計処理を区別することで、業務に合った仕訳データを作成できるようにしました。

導入後の追加カスタマイズ(導入後10年8か月迄)

2010年の導入後も、業務内容の変化や管理資料の充実に合わせて、カスタマイズを継続しました。

特に2016年には、サーバー更新に合わせて委託加工、滞留在庫、債権・債務、与信管理、会計連動など、大規模な機能追加を行っています。

追加カスタマイズの工数・参考価格

時期カスタマイズ内容工数参考価格(税抜)
2011年在庫一覧表への評価単価列の追加4人日320,000円
2011年在庫一覧表への加工費集計列の追加1.5人日120,000円
2011年在庫一覧表の並び順に商品分類を追加1.5人日120,000円
2016年得意先・仕入先コード変換12人日960,000円
2016年売掛・買掛残高一覧表への決算資料帳票追加6人日480,000円
2016年勘定奉行への仕訳データ作成6人日480,000円
2016年委託加工入力15人日1,200,000円
2016年委託加工明細表9人日720,000円
2016年滞留在庫一覧表の追加12人日960,000円
2016年入金・支払の個別消込6人日480,000円
2016年滞留債権・滞留債務明細表9人日720,000円
2016年与信請求先の追加12人日960,000円
2016年商品コード入力補完機能9人日720,000円
2016年社内売買用仕訳科目設定・仕訳作成9人日720,000円
2017年売上・仕入入力での倉庫コード手入力3人日240,000円
2017年在庫一覧表への倉庫コード・倉庫略名追加3人日240,000円
2017年在庫一覧表のExcel出力対応1人日80,000円
2020年納品書控への売上伝票形態の印字1人日80,000円
2020年売上・仕入明細表への形態名追加2人日160,000円
2020年直送取引チェックリストのExcel出力4人日320,000円
合計126人日10,080,000円

※参考価格は、カスタマイズ工数に1人日80,000円(税抜)を乗じた概算額です。実際の販売価格・契約金額とは異なります。パッケージ利用料、導入支援費等は含んでいません。

1.在庫評価単価・加工費管理の追加

2011年には、在庫一覧表に在庫評価単価と加工費の集計機能を追加しました。

鋼材の重量・員数管理に対応しながら、月初在庫や当月仕入、入出庫情報を利用して評価単価を計算する仕組みです。

さらに、加工費を在庫一覧表に集計することで、商品仕入額だけでなく加工に関係する金額も確認できるようにしました。

2.委託加工管理の充実

2016年には、委託加工入力画面と委託加工明細表を追加しました。

外部加工先との取引では、通常の仕入・売上とは異なる商品の移動や加工業務の管理が必要になります。

委託加工専用の入力機能と明細表を設けることで、加工業務を販売管理システムの中で管理する仕組みを整備しました。

3.滞留在庫管理の追加

長期間動きのない商品を把握するため、滞留在庫一覧表を追加しました。

鋼材卸売業では、材質、形状、寸法などによって商品種類が多くなるため、在庫数量だけでなく、在庫の滞留状況を確認することも重要です。

滞留在庫を把握することで、在庫処分や今後の仕入判断に活用できます。

4.債権・債務・与信管理の強化

2016年には、入金・支払の個別消込、滞留債権・滞留債務明細表、与信請求先の管理機能を追加しました。

売掛金・買掛金の残高を管理するだけでなく、回収状況や与信先を確認するための管理資料を充実させています。

5.倉庫別在庫管理の充実

2017年には、売上・仕入入力時に倉庫コードを直接指定できる機能を追加しました。

さらに、在庫一覧表に倉庫コードや倉庫略名を表示し、Excel出力にも対応しました。

複数の倉庫や事業所で鋼材を管理する企業にとって、在庫管理をより柔軟に行うためのカスタマイズです。

6.直送取引チェックリストの追加

2020年には、直送取引チェックリストのExcel出力機能を追加しました。

鋼材卸売業では、仕入先から得意先へ直接商品を納品する直送取引があります。

この機能では、直送取引に関する売上金額・仕入金額などを集計してExcelへ出力します。

仕入先別・得意先別の取引内容の確認や、売上・仕入の照合作業に活用できます。

その他のシステム更新・保守対応

2010年の導入から10年以上が経過した後も、システム環境の更新が行われています。

時期主な内容区分
2021年社名変更に伴う帳票・表示関連の修正システム修正
2022年データベース・マスタ移行作業システム移行支援
2023年サーバー更新に伴うデータベース移行・設定システム更新支援

これらは受注実績として確認できる作業ですが、カスタマイズ工数が明確でないものやシステム移行・導入支援に該当するものを含むため、上記のカスタマイズ工数131人日には含めていません。

見送りとなったカスタマイズ

本事例では、長期間にわたって複数の見積案が作成されました。

特に2015年から2016年にかけては、システム更新に関する複数の改訂見積がありましたが、最終的に受注された内容を対象とし、差替え前の見積は工数に含めていません。

また、その他の見積には、電子記録債権データとの連動などの複数の検討記録もあります。

これらのうち受注を確認できない項目は、導入済み機能として扱っていません。

システムの構成と導入効果

本事例は、販売管理・仕入管理・在庫管理などの基本機能を土台として、鋼材卸売業に必要な機能を追加してきたものです。

2016年にはオンプレミス環境でのシステム更新を行い、その後も業務改善やシステム環境の更新を続けています。

本事例のカスタマイズによって、次のような業務上の効果が期待できます。

  • 加工業務の管理:加工指示書から委託加工入力・明細表までの業務をシステム化
  • 在庫管理の充実:評価単価、加工費、滞留在庫、倉庫別在庫を把握
  • 債権・債務管理の強化:個別消込や滞留債権・債務を確認
  • 会計処理の連携:外注加工費や社内売買を含めた仕訳データの作成
  • 管理資料の改善:直送取引や売上・仕入明細をExcelで活用

ただし、実際の作業時間削減率、在庫削減額などの定量的な効果は確認できていないため、ここでは記載していません。

この事例から分かること

本事例の大きな特徴は、2010年の導入から約10年間にわたり、必要な機能を段階的に追加してきたことです。

当初は5人日のカスタマイズからスタートし、翌年には在庫評価や加工費集計を追加しました。

さらに2016年には、業務全体の見直しに合わせて105人日の大規模なカスタマイズを行い、その後も倉庫別在庫管理や直送取引の管理を充実させています。

業務ソフトウェアは、導入時にすべての要望を盛り込むことが必ずしも最善とは限りません。

標準機能を活用して運用を開始し、その後の業務の変化や必要性に応じて機能を追加していく方法も有効です。

また、長期間システムを利用する場合には、業務カスタマイズだけでなく、サーバーやデータベースなどの更新も重要になります。

本事例は、業種別の業務に対応しながら、継続的にシステムを改善してきた事例といえます。

ご検討中の企業様へ

鋼材卸売業の販売管理システムをご検討中の企業様には、ふくろう鋼材をご紹介しています。

販売管理、仕入管理、在庫管理などの標準機能を活用しながら、委託加工、滞留在庫、倉庫別在庫、直送取引など、個別の業務に合わせたカスタマイズをご提案できます。

現在の業務内容を確認したうえで、標準機能で対応できる範囲とカスタマイズが必要な範囲を整理し、無理のないシステム構成をご提案します。

ご注意

本事例は2010年から2023年までの見積書・注文書等の資料に基づくものです。

導入当時に有償カスタマイズとして開発した機能でも、現在では標準機能として提供されている場合があります。

また、掲載した参考価格は、工数に現在の統一単価である1人日80,000円(税抜)を乗じた概算であり、実際の契約金額ではありません。

開発環境、仕様、物価、人件費等の変動によって、現在の価格や必要工数が異なる場合があります。

最新の機能・仕様・価格については個別にお問い合わせください。  Astem

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